アルコール依存症の治療はとても難しいものです。必ず治る病気とはいえ、風邪や盲腸と違って切って取る、症状に合わせて薬を飲むなどの処置とまた違います。
治療の段階としては大きく分けると「介入」というものから入り、自身の症状を自覚させるためと、治したいという気持ちの向上のため大切なプロセスを通ります。
そして身体的な治療。断酒を開始して離脱症状に苦しむことになるので、少しでも和らげて断酒をスムーズに運びます。
その後はリハビリです。アルコール依存症の治療でもっとも大切なのは、アルコール摂取をやめることです。
禁酒に伴って出てくる離脱症状の解毒治療と肝機能など、アルコール依存症によって生じた身体合併症の治療を中心とします。
そこから引き続き行うのが、簡単に言うと心の治療。カウンセリングやミーティングです。リハビリとして認識が高いと思われます。
アルコール依存症の完治とは、飲酒の場に自分も加わろうとしない事こそが本当の完治であり、私自身はアルコールの量や酔った時の行動に気を付けながら飲み、間違いを起こさないようにセーブしているのですが、こういった形は完治とは言えません。
アルコールを求めること自体が病気なのですから、そして求めるままに従えばまだアルコール依存症なのです。
確かに、そうですよね。セーブと言っても飲酒が引き金なのですから、極端に言えば「人に向けて撃たなければ銃をバンバンしても良い」としているようなものでしょうか。
殺傷力の高い銃ではないにしろ、アルコール摂取が迷惑をかけるのなら絶対に摂取してはならないのです。アルコール依存性治療は何が難しいというと、ここなのです。
どんなに離脱症状の解毒治療をしても心理療法をしても、通常の暮らしに戻るとお酒というものは非常に身近に存在しているのですから本当の意味で離れることは難しく、繰り返しアルコール依存症を発症させる事が多いのです。
介入からリハビリを経て、アルコールが身体からきれいに抜けた事が完治というわけではありません。
とても大変な事のように思えますが、アルコール依存症でなくても、人は誰しも困った癖は有ります。
太ると分かっても間食したり、有意義に一日を過ごしたくてもダラダラしてしまうなど、小さな事のように見えますが、そこには大きな葛藤があったり後悔をしたりと、苦悩と人は背中合わせなのです。
アルコール依存症は大変な病気ですが、決して自分一人だけが苦悩しているわけではありません。そこを踏まえて断酒を貫くのも成功の秘訣ですね。
関連記事
女性専門アルコール依存症治療
アルコール依存症に関して「女性にも多い」などの声はよく聞くとは思いますが、身体の構造上、女性の方が大いにアルコール依存症にかかる可能性は高いのです。
アルコールと密接であることが、特に日本人女性にとって定着していなかったせいでしょう。
良き妻とか良き母親像が強く、何に対してか一歩だか三歩だか下がってか知りませんが、どうあれアルコールという嗜好品と密接である事が少し後ろめたいと言いますか、生意気と言いますか。
それだけの理由ですから、現代の女性の「アルコール依存症の多い」という姿が当たり前と言えば当たり前なのです。平等に…と言うなら。
そんな女性のアルコール依存症患者、内科治療方法は男性とは変わりませんが、やはり病室はさて置き治療プログラムの過程の中では女性専門の場所を取ることが大切です。
現在、女性専門のアルコール依存症治療を実施している施設は限られています。
その女性専門の場を実施している施設には医師や看護師から婦人講義といったアルコールで引き起こす女性特有の病気や危険性についての勉強を受けたり、作業療法というリハビリでは男性とは違い、(全ての男性のリハビリ内容がスポーツや社会貢献へ繋がるものとは言いませんが)体を動かす事ではなく創作活動を中心としてリハビリを行います。
治療と断酒を継続させるために大切な事は周りからのサポートや、同じ気持ちを強く持った仲間がいるという心の支えですから女性限定のミーティングなど積極的に出席して心の内を明かしたり、または他の女性の出席者の話に共感することも大きな支えとなります。
アルコール依存症患者のミーティングというと有名どころはAAでしょうか。
お酒を飲まない、やめたいという思いを持っていれば参加できるミーティングの場を設けた団体で、男女問わず参加できる会もあれば女性限定の会もあり、またはオープンミーティングといって、アルコール問題を抱えていない人でも参加できる会があります。
少し日本では馴染みのないものでしょう。ハリウッド映画にはよくそんなシーンが出てきます。「私は◯◯です。アルコール依存症です」と自己紹介して簡単に今起こっている問題を話したり飲酒を打ち明けたりしているシーン。
まさにそれですね。地域によって開催場所を掲示してあるし、秘密厳守なので安心です。人として男女問わず平等に…とは言いますが、やはり体や心は男性と女性では違うのです。
ただ共感する、ただ聞く事でさえ、起こっている問題が同じ会に出席している男性にとって不可解なものが絶対に出てくるのですから、女性専門、女性限定の場を有意義に使っていきたいものです。
関連記事